緑内障発作の予防と治療

急性の緑内障発作は、突然に眼圧が急上昇して失明してしまうという、かなり怖い病気です。
慢性の緑内障はゆっくりと進行するので治療が大事なのですが、急性のものは病態が異なり、ある日突然に発症してすぐに失明するので、発作の予防がとても大事です。
では、予防法はといいますと...
順を追って解説してみます。
まずは、体質的に発作を起こしやすい人についてですが、実はけっこう多く存在します。
遠視が強い、奥目の高齢女性というのが、とくに典型的です。
こんな人の目の断層写真(前眼部OCT)を撮影してみると...

こんな感じです。
隅角という、目の中の水の出口がとても狭くて、今にも詰まりそうになっています。そして、詰まってしまうと緑内障発作になります。
ちなみに、この患者さんは白内障の検査のために受診されただけだったのですが、なんと偶然にも、受診時に外来で待っている間にどんどん眼圧が上がり、緑内障発作を起こしつつある状態でした。
とりあえず、その場をしのぐために点眼治療を行うと、こんな感じになります。

少しだけ隅角が広がって眼圧は下がりましたが、まだまだ油断なりません。
そして、後日に白内障手術を行って、翌日の結果が次の写真です。

隅角が劇的に広がったのがよく分かりますね。
この状態なら緑内障発作を起こす心配もなく、ひと安心です。

こんな訳で、緑内障発作を起こしやすい体質の人には、白内障手術をお勧めしています。
(レーザー治療でしのぐ方法もありますが、合併症があるのでなるべく避けています。)
興味をお持ちの方は、一昨年の記事(2009年1月21日)も合わせてご参照ください。
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