パスカル眼圧計

連休明けの今日から、本格的に世間が始動してまいりました。患者さんもたくさんお見えになりました。

通常の白内障網膜剥離の患者さんは、手術が終わって症状が落ち着いたら診療終了ということになりますが、緑内障や糖尿病網膜症などは定期的な経過観察が必要です。結果として、多くの疾患の中でも、緑内障患者さんはだんだんと割合が増えてくることになります。

最近、緑内障の定期観察で重宝しているのが、Ziemer社のパスカル眼圧計です。この眼圧計は「LASIK術後の眼圧がちゃんと測れる」という触れ込みで、数年前に購入いたしましたが、LASIK術後はもちろんのこと、緑内障の経過観察に無くてはならないものと痛感しております。

眼圧計として一般的な、空気吹き付けによるいわゆる「自動眼圧計」は、測定値があてになりません(あくまでもスクリーニングのためのものです)ので、緑内障の専門家はスリットランプにてゴールドマン眼圧計で測定するのが、ルーチーンとなっておりました。

ところが、そのゴールドマン圧平眼圧計は、角膜の厚みの影響をもろに受け、角膜厚が大きいと高めに出る(薄いとその逆)のが欠点でした。LASIK後はもちろん角膜が薄くなりますので、眼圧が低く出てくるわけです。

ということは、本当の眼圧が正常でも、角膜がもともと厚いと簡単に20mmHg以上に表示され、緑内障とのあらぬ疑いがかけられる可能性が出てくるのです。

眼圧がいつも25mmHgあるのに視野変化が出てこないような症例では、「神経の強い人だなあ」と感心する前にパスカル眼圧計で測定すると20mmHg以下ということがよくあります。

緑内障との誤診、あるいは緑内障の見逃しを避けるためにも、パスカル眼圧計による測定をルーチーン化することが勧められます。

あるいは、緑内障患者で眼圧のコントロールを行っている場合、一度は角膜厚を測定してみることも必要かと存じます。

ただ、眼圧が非常に低い場合、パスカルが息絶え絶えの音になり、測定不能のことが多いのが欠点でしょうか(パスカルでは眼圧が音の高さに変換されて聴こえます)。慣れてくると、数字を見なくても音だけで眼圧がほぼ判るようになります・・・!

ST