レーザー治療は眼科において数多くの種類があります。もともと目は透明組織であり、奥まで光が到達しやすいという特徴があり、レーザー治療が発展してまいりました。これだけレーザーが活躍する診療科は他にありません。
診断においても、画像診断でOCTが活躍するのは眼科だけです。これも、透明組織であるが故のことです。診断でも治療でも、眼科では他科で見られない、特殊で高度な方法が発展してまいりました。
レーザー治療に戻しますと、当院で扱っているだけでも、1)眼底の光凝固、2)後発白内障切開のYAGレーザー、3)硝子体混濁切開YAG(飛蚊症レーザー)、4)緑内障のSLT、5)緑内障のMPCPC、6)LASIKフラップ作成用フェムトレーザー、7)LASIK角膜切除用エキシマレーザー、と多様です。
最近特に注目されているのが緑内障に対するレーザーで、2種類の方法があります。
SLTはSelective Laser Trabeculoplastyの略で、房水の流出抵抗に関与するトラベクルムにあてるYAGレーザーです。目詰まりを起こしたところを部分的に破壊して水の通りをよくするイメージです。
患者さんのご負担(痛みなど)なく、短時間(10分くらい)で施術できます。効果は1年以上とされ、緑内障(POG)の初発~中期の症例に向いています。70%の症例で点眼が不要になるとの報告もあります。
MPCPCは全く異なり、強膜を通じて光を照射し、毛様体~扁平部を熱凝固する方法です。マイクロパルス毛様体光凝固の略です。房水の産生と流出に関与する組織を軽く凝固することにより、眼圧が下がります。詳しい機序はまだわかっていませんが、SLTなどとは別の機序ですので、相乗効果があります。中~末期のPOGに向いています。
SLTとは異なり術後のスパイク(一過性眼圧上昇)が認められず、術翌日から眼圧が下がる傾向にあります。
さし忘れや副作用(充血、ドライアイ、色素沈着、眼球陥凹)など、緑内障の点眼薬の問題点を解決する手段として、レーザーを積極的に使っていくべきと考えています。どちらのレーザーも保険適用です。
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