白内障手術を一眼ずつ行う意味

今日も昨日と同じく白内障手術が行われました。特に問題もなく終了いたしました。

「問題」とは何かと言えば、破嚢やチン氏帯断裂でIOL挿入が未達ということになろうかと思いますが、近年、そのような合併症はほとんどなくなりました。破嚢してもIOLがちゃんと挿入され、硝子体脱出もなければ、結果に差がありませんので、これは合併症とは言えないでしょう。(術前からチン氏帯がはずれている場合は合併症ではありませんし。)

白内障手術はそれだけ安全な手術になったということです。

しかしながら、手術がうまく行っても、患者さんにご満足いただけない場合があります。たいてい、「予想とは見え方が違う」ということで、屈折値の狙いとのズレ、あるいは患者さんの思いとのズレが原因です。

こればっかりは完全に無くすことは不可能です。と申しますのも、「患者さんの思い」というのは、どうしても完全に理解できないことがあるからです。術前にいくら話し合っても、術後の食い違いを100%避けることはできません。

そこで、当院では、両眼の手術の場合、なるべく一週間程度の日にちを空けて行うことにしています。一眼の手術が終わって、実際の見え方を確認してはじめて、「思い通りかどうか」がわかるからです。もしズレがあれば、もう一眼の手術の際に若干の修正を加えることにより、両眼終了後にはズレを最小限にできます。

昔は手術による感染を恐れて両眼の手術を別々に行っていたわけですが、今や、その意味が異なってきています。


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