マルチの適応

今週は火曜日から木曜日まで3日連続で白内障手術が行われます。金曜日には眼瞼手術を予定しています。来週は福岡で行われる日本白内障屈折手術学会に出席のため、手術はお休みです。外来は普段どおり行われる予定です。

今日は午前の外来でたくさんの患者さんに来ていただきました。うちお一人は他医から多焦点IOLの挿入依頼ということで来院された方でした。70歳くらいの男性で、中等度の近視です。お仕事上車の運転があり、また、近業も多いとのことです。しかし、よくお話をお伺いしますと、「メガネには慣れている」とのことでしたので、ご年齢のこともあり、単焦点IOLに決定いたしました。

もうお一方、60歳くらいの活発な女性で、軽度の近視です。うち片眼が白内障により視力が低下しています。裸眼視力は両眼とも0.2くらいで、「この視力だと遠く用のメガネが必要でしょう?」とお伺いすると、「ぼやけてますがメガネはかけていない」とのこと。

「手術で遠くも(裸眼で)見えるようになれば、そんなうれしいことはない」とおっしゃいます。健眼の屈折は−2D程度であり、今回の手術で多焦点IOLを使用すれば、遠くは片眼視、近くは両眼視となりますが、慣れれば問題はありませんし、裸眼でのQOLが向上すること請け合いです。この患者さんは多焦点IOLを使うことに決定いたしました。

結局のところメガネをはずしたい意思が、ちょっとでもクリアに見えたいという意思を上回っている場合に多焦点IOLの適応となります。これは、患者さんとの話し合いの中から、自ずとわかってまいります。

 
ST