SPU-G プラシェル

音楽を聴くのが趣味の人にとって、CDよりも昔のLP(アナログレコード)のほうが音が良いのは常識です。ところが、LPのための装置はなかなか売ってません。真空管式アンプ、能率の良いスピーカー、プレーヤーのすべてを中古市場で求めなければなりません。

アンプにしても、スピーカーにしても、はたまたレコードソフトにしても、「古いほど良い音がする」とかたくなに信じられています。とはいえ、LPよりもSPというわけではなく、やはり、1960年代がすべてにおいて黄金時代でした。

ところで、レコードを聴くための針、すなわちカートリッジも古いほど良いのでしょうか?針はすり減るので交換が必要、ということは、あまり古いものは役に立たない筈です。ところが、マニアの間では、ここでも「古いほど良い」とされており、ちょっと信じがたい思いをしておりました。

とある店から今日届いたプレーヤー(試用品)には、1963年製のオルトフォンのSPU-Gというカートリッジがついていました。

店の人曰く、「針先もなにもかも当時のまま」ということでした。ちなみに、普段使っているカートリッジはもっと新しいもので、せいぜい2000年ごろの製品です。写真の左端が今日送られてきたもので、底にプラスチックのカバーがありますので「プラシェル」と愛称されています。

左から2番目はSPU-GTEというトランス内臓タイプ、3番目はSPU-AEという、違った形(やや小さく、別の専用アームが必要)のステレオ用カートリッジ、4番目はCA-25Diというモノラル専用タイプです。

さっそく聴いてみました。自分が聴くと、先入観が入る可能性があることを考え、何も知らない家内にまず聴いてもらいました。すると、年代物のプラシェルSPU-Gと10年物SPU-AEは全然違い、後者は音が「汚い」とのこと。一言で済まされてしまいました(汗)。

なんでも、63年当時は、針先を本当のダイアモンドで作っているので、減ることはないのだそうです。その後大量生産向きに改悪され、人工ダイアモンドになったり、ほんの先だけがダイアということになったそうです。

私がオーディオの世界に足を踏み入れた頃はすでにそうなっていたということです。

ミステリーサークルが宇宙人からのメッセージであるとかたくなに信じている人がいます。「自分がやった」と白状する人が出てきても、「誰かに言わされているに違いない」と信じません。

オーディオの古いもの信仰もこれに似たものだとばかり思っていましたが、今回、そうではないことを思い知りました。ますます深みにはまりそうです・・・。


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