角膜浮腫 (1)

今日はお昼から白内障手術が行われました。

白内障手術の合併症はいろいろありますが、その代表選手が後嚢破損でしょう。後嚢破損の率は手術の上手下手を表わす指標のひとつです。それだけに、眼科医は皆、後嚢破損が大嫌いです。

後嚢破損は超音波チップを奥に入れすぎると起こります。したがって、それを避けるためには、チップをなるべく表面で保持すればよいと考えがちです。しかし、あまりにも角膜に近い位置でのみ処理をすれば、角膜浮腫という別の合併症が待っています。

角膜浮腫を起こすと、術後一定の期間、たいていは1週間くらい、視力が上がりません。

とはいえ、いずれは回復する合併症ですので、後嚢破損を起こすよりはまだましかもしれません。

後嚢破損を起こすことなく、角膜浮腫も避けるというのが理想的です。

超音波をかける際のチップの先端の位置は、虹彩と同じ面がよいとされています。それよりも角膜よりだと角膜浮腫の率が上がり、逆に網膜寄りだと破嚢率が上がります。これがまず第一のポイントです。

症例によっては前房が極端に浅く、虹彩面でも角膜にあたりそうになることがあるので要注意です。

超音波チップが核を吸う際の核の動きを良く観察すると、核が柔らかい場合は良いとして、硬い場合は核がいろいろな方向に動きます。硬い核がぶつかることにより、容易に角膜内皮を傷つけてしまいます。

これを避けるにはどうするかについては、明日書きます。


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