ICLの症例

先週は手術をお休みしましたが、今週は月曜からフル稼働です。昨日は後房型有水晶体眼内レンズ、ICLの症例がありました。

水晶体を残したままで眼内にレンズを入れることは、一昔前なら考えもしなかったことです。水晶体混濁、緑内障、角膜混濁などの合併症が頭をよぎるからです。でもそれは、白内障手術に眼内レンズが応用されたばかりの頃でした。まだまだ発展途上の技術でした。

ICLではレンズが角膜から遠い後房に位置しますので、角膜内皮の減少はそれほどでもありません。また、水晶体とは0.5mmほど離れており、白内障を予防します。足が接触する組織はチン氏帯であり、生体反応がとても少ない場所となっています。

昨日行った患者さんは近視度数が−12Dくらいの高度近視で、LASIKの適応をはずれた方でした。それが本日の診察では、両眼とも裸眼2.0とすこぶる良好でした。

術前に乱視度数が-1.5D程度ありましたので、予想以上の結果でした。今のところ乱視度数の入ったトーリックICLは認可されておりませんが、これも来春までには使用可能とのことです。

ICLは偽水晶体眼の度数調整用としても用いることができます。これをアドオンレンズといいます。通常、白内障手術の時の眼内レンズは水晶体の袋の中、嚢内に固定されます。その前で虹彩の後ろにレンズを追加することで、偽水晶体眼の屈折異常を矯正します。

アドオンレンズとしてのICLもこれから面白い分野と思います。

今日はお昼から白内障手術が20件あり、多焦点眼内レンズを2枚使いました。20例のうちのほとんどが一体型のアクリルレンズであり、手術時間はますます短縮されています。


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