直乱視対策の上側強膜切開

今日は早速白内障手術の日でした。そのうち多焦点IOLを3例の方に使いました。

最近は多焦点をあまり積極的にはお勧めしていません。コントラスト感度の低下およびハロ、グレアと引き換えに2焦点を得るということですので、誰にもという訳には行きませんから。

そんな中、40代以下の若い世代の白内障ではやっぱり老眼鏡を嫌うためか、多焦点を希望する方が多くなります。

その場合、術前の乱視はたいてい直乱視です。ご存知のように、乱視が1.5D以上残ると、裸眼視力に大きく影響いたします。これだけはなんとか避けなければなりません。

通常の耳側角膜切開だと、直乱視は大きくなる傾向にあります。ご老人の倒乱視の場合、乱視が軽くなって具合がよいのですが、若い世代だとそういうわけにはまいりません。

耳側切開と同時にLRIを置く手もあります。しかし、これだと、切開線がとても多くなってしまいますし、意外と直乱視のLRIは効きにくいものです。

そこで、耳側切開の代わりに上側強角膜切開を行い、下方角膜輪部にLRIを一本いれるという方法をご紹介いたします。

今日の一例では、軸15°で−2.5Dの角膜乱視がありました。そこで、105°中心の6mm無縫合強膜切開から水晶体摘出+IOL挿入を行い、285°中心のLRI(長さほぼ6mm)を追加しました。

術中所見ではほぼニュートラルに矯正されていました。

直乱視症例では上側無縫合強膜切開が有効です。切開線の長さはもちろん、乱視の程度に応じて調節いたします。無縫合でなくてはなりませんが、幅8mmくらいまで可能です。

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