緑内障は積極的な治療が必要

先週1週間手術のお休みをいただいたことで、今週は手術が立て込むことになりました。とは言っても、白内障手術はもっと良い気候の時にしたいとのご要望があり、それほどでもありませんが、緑内障、網膜硝子体はそんなわけには行きません。

 

よく考えてみると今週の小生の手術はほとんどが緑内障がらみであり、特に今日など、濾過手術1例、アイステント2例、プリザーフロ2例とこなした上、白内障や翼状片もありましたから、2時間半きっちり手術にかかりました。

 

濾過手術に至った症例はDMがらみの血管新生緑内障で、こればっかりはプリザーフロやロトミー(アイステントなど)では対処できません。術前60mmHgに達する高眼圧でも後房から結膜下に抜ける水路をうまく作ることができれば正常に戻ります。眼圧コントロールは縫合糸の位置と結紮の強さがキモですから、何度も縫い直すこともあり、時間がかかります。

 

その点、プリザーフロマイクロシャントは縫合も少なく、慣れてくれば時間もそれほどかかりません。ただ、術後一定期間ののちの眼圧は濾過手術ほどには下げることができません。それでも安全に手術ができて、点眼の数を減らせることは患者さんにとって大きな福音となります。

 

アイステントは白内障手術との同時手術でないと保険適応になりませんが、緑内障の有病率が高齢者では5〜10%にも達するので、白内障手術の希望者でよくよく検査をすると、緑内障が隠れていることもとても多いのです。そんな場合は、点眼治療を開始した上で、なるべく早期にアイステント(と白内障の同時手術)を行います。

 

緑内障の治療は十分な眼圧の下降を得ることであり、上のような手段を駆使してでも、積極的に治療に持ってゆかなければなりません。一度失われた視野障害、視神経障害は決して元に戻ることはないのですから。

 

ST