EDOFレンズのいろいろ

多焦点IOLには多くの種類があり、いくつものメーカーから競って発売されているので、世界で流通している多焦点IOLは何十種類とあります。また、光学特性も年々進化しており、初期にみられた2焦点の屈折型や回折型はあまり使われなくなりました。

 

回折型では3焦点以上が主流で、ピントの合う位置を眼前40cm~無限大へと拡大することにより、明視域を広げて、眼鏡への依存をなくします。

 

ただし、ピントの合う位置を拡大すればするほど、一か所へ集中する光は少なくなりますので、はっきりくっきり見える力(コントラスト感度)が低下し、光がにじむ現象(ハロ、グレア)が強くなるのが悩みどころです。

 

そこでピントの合う位置をそれほど広げない多焦点IOLも出ています。遠く~中間部分(眼前60cm)まで明視域を拡大することにより、単焦点IOLよりは眼鏡依存度をなくすと同時に、見え方のハンデを克服するというものです。読書距離では眼鏡が必要なことがあります。このコンセプトのIOLをEDOFレンズと称します。Extended Depth of Focus の略です。

 

最初に出たEDOFレンズはJ&Jのシンフォニーで回折型でした。コントラスト感度の低下は少ないものの、ハロ、グレアは結構気になるようです。トーリックも用意されており、今でも十分に現役です。選定療養対象です。

 

一方、屈折型のEDOFとしてもっとも早くに発売されたのがミニウェルです。これは球面収差により焦点深度を広げたものです。ハロ、グレアが少ない特徴があり、最近はさらに深度を拡大したレンズ(プロクサ)を非優位眼に使用してミックス アンド マッチとし、さらに眼鏡依存度をなくす方法が推奨されています。トーリックもあります。選定療養対象外で、完全自費となります。

 

最近(ここ数か月)発売されたアルコン社のVivity(ビビティ)は、ウェーブフロント形成という技術を用いて深度を広げた屈折型のEDOFです。ミニウェルに似ています。同じようにハロ、グレアが少なく、コントラスト感度の低下も少ないようです。数名の患者さんに使用しましたが、今のところ、満足度は高いようです。選定療養ですが、トーリックは用意されていません。

 

屈折型のEDOFはご自分の水晶体との交換による見え方の違和感が少なく、使いやすいレンズです。今後主流になってくるかもしれません。

 

ST