MGDとはMeibomian Gland Dysfunctionの略で、涙の成分のひとつである脂肪を分泌するマイボーム腺の機能不全のことです。MGDはドライアイの原因のひとつとして注目されています。
マイボーム腺は上と下の瞼に広く分布しており、開口部は瞼が眼球に接する部分にあります。感染すると麦粒腫(めばちこ)になります。閉塞して中に脂肪がたまる状態が霰粒腫です。
加齢とともに腺の数が減少し脂肪の分泌が損なわれると、涙が乾きやすくなり、ドライアイになります。白内障手術を必要とする世代では約半数がMGDと言われており、術後視力に影響することがあります。裸眼視力が大切な多焦点IOLで特に問題となります。
マイボーム腺は赤外光で観察するとよく描出されます。最近、マイボーム腺を撮影してその減少を自動的に数える器械ができており、診断がとても楽になりました。
MGDによるドライアイの治療として、眼周囲に光をあてて組織を温め、脂肪の融解を促す方法があります。美容皮膚科領域でフォトフェイシャルとして用いられている方法です。皮膚科ではシミとり、脱毛が目的ですので、眼科とは使用目的が異なり、出力や光の波長も違います。眼科では眼科専用に調整された装置を用います。この方法をIPL(Intense Pulsed Light)といいます。
最近、ドライアイの治療として薬事申請がなされ、許可されましたので坪井眼科でも試しに使ってみました。結果が良ければ採用して、夏頃には本格的に使いだすかもしれません。
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