視力

眼科で診察の前に必ず測るのが視力。特に、適切なメガネを装用して屈折異常を矯正した視力=矯正視力(Best-Corrected Visual Acuity, BCVA)が大切です。眼に病気があるかないかの基本情報の一つだからです。

 

しかし、一般の人にとって視力とは、メガネやコンタクトを外した「裸眼」視力のこと。Un-Corrected Visual Acuity=UCVAです。眼科ではBCVAとUCVAのどちらも測定しますし、場合によっては近見視力(UCNVA)も測定対象です。

 

白内障手術をした後患者さんに満足していただけるには、このUCVAが良好でなければなりません。では、UCVA=1.0だったら全員が満足かというと、そうではないのが難しいところです。

 

視力とはあくまで遠方5mの視標の見え方であり、これが良いということは遠くがよく見えるということになりますが、人によっては「近くが見たい」、あるいは「なるだけメガネをかけたくない」というご希望もあり、一筋縄では行きません。

 

近くが見えるためには眼前40cmくらいのピント合わせになり、メガネ度数では-2.5Dの軽度近視です。この場合、遠くのUCVAは0.1くらいで、運転やTVはメガネが必要となります。

 

患者さんの希望がなければ、術前の度数が遠視〜正視では遠方狙い(0〜-0.5D狙い)、軽度近視ではそのまま、中〜高度近視では近く狙い(-2〜3D狙い)にするのが一般的です。

 

いずれにしても、乱視を残さないことが視力向上の秘訣であり、最近は必要に応じ乱視矯正用眼内レンズ(トーリックIOL)を使うことが普及してきています。

 

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