ドライアイ

冬になり暖房とともに空気が乾燥する季節になるとドライアイが増えてきます。ドライアイとは文字通り、涙が少なくなって眼の表面が乾燥し、ゴロゴロ感、角膜障害、視力低下などを来す疾患です。大多数は点眼やプラグで治療可能な良性疾患ですが、中には失明に至るようなシビアなケースも稀にあります。

 

私がドライアイに注目したのは2000年にLASIKを開始した頃からです。よく知られているように、LASIKでは術後、角膜形状の変化などからドライアイがよく起こります。大抵はヒアレインムコスタなどの点眼で治癒しますが、中には遷延し、屈折に影響する場合があります。LASIKの術後は裸眼視力が大切ですが、ドライアイが視力に影響することを知り、その管理の大切さを初めて実感いたしました。その後の多焦点IOLでも同じことです。

 

ドライアイは薬剤によっても引き起こされます。これは意外と見過ごされがちで、なかなか治らないドライアイが実は常用している点眼薬が原因ということがよくあります。

 

ドライアイを起こしやすいことで知られる薬剤は非ステロイド系の抗炎症薬(NSAIDS)および緑内障薬です。いずれも比較的長期間にわたって処方されますので、副作用が出てきやすいということもあります。白内障手術の後、あたりまえのように処方される点眼薬が、実はドライアイの原因になる可能性があることは知っておいたほうが良いでしょう。

 

NSAIDSの場合、疼痛が緩和されることによる瞬きの減少が一因とされ、また、これらの点眼薬に含まれる防腐剤も一因とされています。その為、緑内障薬では防腐剤を含まない、使い捨ての点眼(ミニムス)が用意されています。

 

もともとドライアイの傾向がある患者さんでは、NASIDSや緑内障点眼薬をなるべく避ける努力が必要になってきます。白内障術後では眼圧に注意しつつステロイド剤を使うか、CMEの発症を疑いつつNSAIDSを使用しないという選択になります。緑内障では、レーザーやMIGSを積極的に取り入れて点眼を減らす方法があります。

 

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