緑内障と電子カルテ

当院で電子カルテが導入されたのは2020年始めでした。コロナになる直前であり、導入された途端に患者数が減ったので、ゆっくりと馴染むことができました。今では紙カルテを使うことはありません。今後ますます、いろんなところで電子化が進んでいくはずです。

 

電子カルテの利点はいくつもありますが、最も重宝しているのが緑内障の管理においてです。緑内障は慢性疾患で、視野、OCT、眼圧の時系列の変化が診断と治療の決め手となります。

 

紙カルテ時代でも視野とOCTは器械に付属するソフトで管理できましたが、眼圧は診察のたびに測定するもののグラフ化できていませんので、過去に遡って調べるのが大変でした。電子カルテでは「眼圧グラフ」として一目瞭然であり、治療介入の効果がよくわかります。患者さんにもよくご理解いただけるようになりました。

 

SLTやアイステントの後、どの期間、どの程度の眼圧下降があるかもはっきりと判ります。

 

眼圧は測定方法によって値にばらつきがあり、最も正確なDCT、基準のGAT(ゴールドマン圧平眼圧計)、最も簡単ですが値の信用できない空気眼圧計と場合によって使い分けます。緑内障の診断の際は眼圧の絶対値が知りたいので前2者が必須ですが、経過観察においては変化を知りたいだけですので、空気眼圧計の値でも十分です。

 

当院では空気眼圧計の値を角膜厚に合わせて調整した値を基準としています。角膜が薄くなると眼圧が低く、厚くなると高く測定されるバラツキを修正します。それでも、ここというときにはDCTまたはGATが必要になります。

 

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