眼圧測定

眼圧とは文字通り眼の中の圧のことで、血圧や脊髄液圧などと同様、液体の圧です(水圧)。緑内障の診断、治療と関係するのみならず、眼の状態の基本データですので、初診患者さんでは必ず測定します。

 

眼の中の水圧を直接測る方法はありませんので、眼を一定の圧で押した際のたわみ量を測るか、一定のたわみを作る際の圧で測るかのどちらかです。最も簡便な空気による測定は前者であり、圧平眼圧計のゴールドマン(GAT)は後者です。血圧の場合、血流が途絶する際の圧力で代用するのと同じようなものです。

 

たわみ量は眼の外壁組織の強さに影響を受けます。眼圧を測定する組織は角膜ですので、角膜の厚みに大きく左右されます。例えば、LASIK後などで角膜が薄い場合、少しの力で一定量をたわませることができるので、眼圧が低く測定されますし、角膜が厚い場合は高くなります。

 

眼圧の絶対値を知るには、角膜の厚みから値に修正を加えるか、組織の弾性を別に測定するかが必要になってきます。その場合でも推定値にすぎません。

 

薬や手術の効果を調べるだけのためならば、同じ方法で毎回測定し比較すればよいですが、緑内障の診断の際にはなるべく絶対値に近い値を知る必要がありますので、角膜の厚みに影響を受けない測定方法が望ましいのです。

 

そのひとつが当院で使用しているDCT(Dynamic Contour Tonometer)です。また、空気眼圧計でも、角膜厚による修正値を用いることにより、より絶対値に近くなります。GATは角膜厚および曲率の影響を受けますし、検者の主観も入りますので、LASIKが普及した今となっては昔ほどの信頼はありません。

 

緑内障疑いの患者さんを見かけた場合、空気眼圧計だけではなく、DCT、GATも行い、角膜厚も参考にして眼圧の絶対値を推量します。普段の経過観察では空気眼圧計の修正値を用います。

 

検診でいつも高眼圧でひっかかる人は、よく調べると角膜厚が600μくらいと厚いことがあります。逆に、LASIK後など角膜厚が400μ台と薄くなっていると眼圧が低く出ますので、緑内障のスクリーニングとして眼圧測定をしても、高眼圧が見逃される恐れがあります。

 

 

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