脱臼水晶体の処理

9月の中頃から気候が良くなってきたせいか、新しい患者さんのご来院が増えて参りました。ありがたいことです。紹介状をお持ちの方が多いのですが、別に紹介状がなくとも問題はありません。

中には、「かかっている病院だと入院の上、手術が来年になる」とかおっしゃって来られる方がおられますが、当院だと白内障手術でそんなにお待たせすることはありません。1〜2ヶ月の待機期間ですので、遠慮なく紹介状なしてもご来院いただきたいと思います。

昨日はいくつかの特殊手術を行いましたが、そのうちの一例は脱臼水晶体でした。水晶体の支えがグラグラで、今にも硝子体内に落ちそうな状態の患者さんです。この場合、通常の方法で眼内レンズの挿入はできません。

まず、脱臼した水晶体を取り除き、眼内レンズは毛様溝に強膜内固定いたします。

脱臼水晶体は昔ながらの嚢内摘出(ICCE)だと簡単ですが、その場合、1cmくらいの大きな傷となります。IOL固定の段階で、それほどの大きな傷があるととても危険です。

そこで、小切開からの超音波摘出となります。しかし、水晶体が脱臼していますので、容易に中身が硝子体中に落下いたします。今回も、核の半分くらいが落下してしまいました。

落下した水晶体核は、硝子体手術で吸引、除去いたします。いわゆるフラグマトームという方法で、硝子体腔に落ちた水晶体を吸引し、持ち上げた状態で超音波をかけます。

アルコン社のコンステレーションは、超音波を横がけし、核を突き放しませんので、上記の操作がとても安全かつ効率的に行えます。これは新しい発見でした。

器械の進歩により、昔は難しかった手技もとても簡単になってきています。

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