緑内障の診断

緑内障は年齢とともに視神経が侵される病気です。視神経が退行変性することにより、最初は視野変化が生じ、進行すると中心部まで侵されて視力も低下します。成人の失明原因の1位であり、眼科で最も重要な疾患の一つです。

 

高齢者では頻度が高い(20名に一人とされる)ので、外来で毎日のように新しい緑内障患者さんと遭遇します。白内障手術ご希望で来院された患者さんで、よく調べると緑内障もあるということも多いのです。

 

緑内障は視神経の異常ですが、網膜の10層のうち神経線維層が薄くなりますので、画像診断(OCT)で簡単に診断できます。OCTは正確性、再現性に優れており、短時間かつ負担なく測定できますので、真っ先に行います。ただし、白内障があると正確な所見が取れないことも多いですので、怪しい場合は術後の再検査が必要となります。当院ではss(swept source)OCT Tritonを使っています。

 

ついで、視野検査が重要です。いろんな方法がありますが、最も標準的なのは中心から30°の範囲を精密に測定する「静的視野」です。当院ではオクトパス900という器械を使っています。より一般的なハンフリーよりも感度が優れています。しかし、視野検査は患者さんの知能、体調、やる気に左右される情動的(心理物理的)検査ですので注意が必要です。OCTの方がより客観的です。

 

もちろん眼圧測定も大切です。眼圧は非接触式が一般的ですが、より正確には接触式のゴールドマン眼圧計(GAT)が必要であり、後者が標準です。しかし、どちらも角膜厚に依存しており、薄くなると低く測定されます。LASIK後などでは低く測定され、緑内障を見逃す恐れがあります。当院では上記に加えて必要に応じてDCT(Dynamic Contour Tonometer)眼圧計による測定を行なっています。これにより、角膜厚が薄くても厚くても比較的正確に測定されます。

 

緑内障は継続的に観察、治療することが大切です。症状の落ち着いた患者さんは3ヶ月に一度来院していただき、視力、眼圧測定のほか、OCTまたは視野検査を行います。結果、OCTと視野は半年に一度となります。これを数年に渡って継続して初めて、治療の効果が判定できます。

 

緑内障に対するOCTが確立されたのはここ10年以内のことです。緑内障の診断、病期の判定が誰でも正確に行えるようになった意義は計り知れないものです。

 

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