飛蚊症レーザー(レーザービトレオライシス)

飛蚊症は硝子体腔に浮遊する濁りが影となって網膜に写る状態です。若い方でも、硝子体の液化により見える場合がありますが、大抵は、中年以上になり、液化が進んで、ある日突然、硝子体が眼底(網膜)から剥離することにより、自覚するようになります。

 

もっとも強く付着している乳頭から剥離した部分の硝子体は、輪状に混濁していることが多く、ワイスリング(Weiss Ring)と呼ばれています。この混濁を飛蚊症として自覚することが多いのです。

 

硝子体剥離の好発年齢は60代ですが、高度の近視では40代で生じることもあります。

 

飛蚊症は視力には影響しないのが普通で、従来は治療の対象ではありませんでした。しかし、「どうしても気になって仕方がない」という方のために、レーザーによる治療法があります。

 

後発白内障の治療でも用いるYAGレーザーを硝子体腔で作動させ、ワイスリング(混濁)を粉砕します。後発白内障の切開よりも強いパワーが必要となりますので、専用のYAGレーザー装置を用います(エレックス社)。

 

レーザーの衝撃が水晶体に及ぶと白内障になりますし、網膜に及ぶと出血、裂孔などの危険があります。混濁が網膜および水晶体から十分に離れていることが治療の前提です。

 

混濁が完全になくなるわけではありません。影が薄くなるというのが治療効果です。

 

このレーザーは保険適用ではありません。自費診療になります。1眼あたり15万円で、症状が改善するまで(最大3回)レーザーを照射いたします。

 

眼科ではいろんなレーザーを治療に用います。もっとも早く導入されたのが、1)糖尿病網膜症や網膜裂孔の治療に用いる着色光レーザー(アルゴン、半導体など)です。眼底の色素に光を当て、熱凝固します。ついで2)今回の話のYAGレーザー。組織を切開します。まずは後発白内障の治療からスタートしました。3)2000年ごろ始まったレーシックのエキシマレーザー。組織を精密に削ります。4)レーシックのフラップ作成に用いるフェムトセカンドレーザー。組織を精密に切断します。

 

YAGレーザーは緑内障に対するSLT(Selective Laser Trabecloplasty)でも使用されています。緑内障に対しては、他に毛様体光凝固があり(着色光レーザー)、最近、マイクロパルスとすることにより汎用性が増したので、注目されています(イリデックス社)。

 

当院では上記すべてのレーザー治療に対応可能です。

 

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