トーリックIOL

トーリックIOLとは乱視矯正の効果を持ったIOLのことです。しくみはメガネのレンズと一緒で、球面度数と円柱度数が組み合わせてあります。円柱度数には軸があり、人によって様々です。乱視を矯正する際は、矯正度数と軸(0〜180°)の両方を決めなければなりません。

 

乱視の多寡は裸眼視力に影響します。乱視が少ないほど裸眼視力は良くなります。よって、術後の裸眼視力を出すためには乱視を少なくしなければなりません。

 

生来の乱視は角膜と水晶体に存在します。白内障手術のあとは、残った角膜の乱視が反映されます。したがって、術前に角膜の乱視度数を調べておき、トーリックIOLで矯正することになります。

 

角膜の乱視度数はいろんな器械で測定できます。当院では今の所最も正確な前眼部OCT「カシア2」の測定値を基準に、IOLマスター700の値を参考にして、度数および軸を決定しています。

 

手術の際の軸合わせが大切ですが、カシア2で得られた軸の前眼部写真をiPadにより手術場で参照する方法です。一見原始的ですが、最も簡便かつ正確でもあります。

 

トーリックIOLは術後の裸眼視力が重要な多焦点レンズでは必須であり、角膜乱視が1.5D以上ならば必ず用います。

 

保険適応の単焦点レンズでもトーリックがあります。こちらは余分な費用が発生しませんので、裸眼視力が必要で角膜乱視が大きい場合はなるべく使用するようにしています。ピントの合う位置での裸眼視力が向上します。

 

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