iStent(アイステント)の成績

昨年春ごろ日本に導入されたiStent(アイステント)は、当院ではすでに50眼くらい行なっています。今年になってからだけでも21件あり、その成績を職員(HT君)が調べてくれました。

 

眼圧で見ると、術前の眼圧が術後1、3、6ヶ月でそれぞれ有意に下降し、点眼スコア(何剤の緑内障点眼を行なっているか)も、術前から術後6ヶ月で低下していました。

 

つまり、点眼薬を減らしているにも関わらず、眼圧が有意に低下しているわけで、緑内障のコントロールに優れた効果をもたらすことが確認されました。この成績はすでに海外から報告されている結果とほぼ一致いたします。

 

ただ注意しなければならないのは、術後1日では逆に高くなる症例が多く、1週間でようやく術前と同じくらいと、術直後に眼圧スパイクがあることです。手術に伴う炎症、粘弾性物質の残留などで、緑内障では普通に生じるスパイクは、iStentでも防げないということです。

 

iStentは緑内障の患者さんが、たまたま白内障手術を受ける機会があって初めて行える手術です。白内障との同時手術でないと保険請求できないという、緑内障の手術にしては珍しい部類です。

 

それが、上記のような優れた効果を発揮するのですから、緑内障の患者さんにとって、白内障手術の機会があればiStentを検討した方が良いでしょう。

 

もちろん、白内障手術と無関係に行える緑内障手術、レーザー治療もたくさんあります。レーザーはSLT(選択的隅角形成)とMPCPC(マイクロパルス毛様体光凝固)があります。観血的手術にはマイクロフックロトミー、レクトミー(濾過手術)などがあります。

 

従来、点眼薬で効果が不十分な場合に行う感覚だった緑内障手術、レーザーは、今や、点眼薬に頼らずに治療する手段として確立しつつあります。眼科医の長年の夢に近づきつつあります。

 

点眼、レーザー、手術と、できることはなんでも取り入れる姿勢でないと、緑内障という難敵に立ち向うことは出来ません。

 

ST