標準治療

よく医療機関のホームページなどで、「先進の〜」とか「最先端の」とか書かれていますね。これにはちょっと違和感を覚えます。新しい器械でしたら「最新の〜」なら分かるのですが。

 

医療においては、「より良い医療」が明らかになったら、すぐに多くの医師が取り入れることになりますので、瞬く間に標準治療になります。新しく開発された医療も、標準化されてこそ、良い医療と認められたことになるのです。

 

「先進の」医療と言っている間は、まだ一般化していないということですから、必ずしも良い医療かどうかは分かりません。標準治療=最善の医療です。

 

ここで良いという意味には、治療効果に優れる、診断能力が高まる、などのほか、手間がかからない、コストが安くつく、など、医療経済的効果ももちろん含まれます。

 

標準治療が必ずしも保険適応になっているとは限りません。良い医療でも、コストがかかりすぎたり、代替えの方法がある場合、保険には収載されないことがあります。

 

レーシックがその良い例です。近視矯正手術として標準治療ですが、世界のどこでも自費診療です。

 

多焦点レンズが、先進医療(保険収載するかどうかを見定めるための措置)を外れるかどうか話題になりつつありますが、メガネ、コンタクトの代替え手段のレーシックが自費診療であることを考えると、多焦点レンズが保険収載されるよりは、自費診療のままの方が自然ですね。それでも、多焦点レンズが標準治療であることには間違いありません。

 

最近標準治療と認められかつ保険収載された医療技術に、アイステントがあります。これは緑内障の治療効果を高めるため、白内障手術の際に同時手術として挿入可能な、トラベクルムに差し込むステント(流れをよくするデバイス)のことです。

 

緑内障の患者さんでは、視神経にストレスをもたらす眼圧をなるべく定常的に下げる必要があります。アイステントは降圧作用が科学的に認められている上、出血などの副作用が少なく、術直後の視力に悪影響を与えない特長があります。

 

白内障手術の際、アイステントを用いることにより、以後の降圧点眼薬を中止するか、減らすことが可能です。これは、緑内障の患者さんにとって、とても大切なことです。

 

当院では緑内障の患者さんで白内障手術が必要な際、アイステントを積極的に活用することにしています。

 

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