自費診療

昨日ははるばる広島から飛蚊症の治療に来られた患者さんがおられました。緊急事態宣言も解除され、長距離の移動も安心して行われるようになったからでしょう。

 

飛蚊症の原因は硝子体混濁ですが、そのまた原因は様々であり、かならずしもレーザー治療の適応になるとは限りません。飛蚊症レーザー(レーザービトレオライシス、自費診療)は硝子体で作用させるYAGレーザーであり、後発白内障に用いるのと同じ機種です。

 

YAGレーザーでは薄い膜を切断することが可能です。後発白内障では濁りの範囲が限定されており、よほどのことがないかぎりレーザーで切断可能ですが、それでも厚みのある混濁は処理できません。時には硝子体手術(PPV)が必要になってきます。昨日もそのような患者さんの手術を自費診療で行いました。

 

硝子体混濁でも同じで、小さな薄い混濁は跡形なくなくなることがありますが、気になりやすい大きな混濁はレーザーで消失させることはできません。その場合でもPPVによれば完全に除去できます。

 

問題は、このような単純混濁に対するPPVが健康保険で認められなくなっていることです。国民医療費の増大とともに財政が圧迫されているからか、費用の高くつく手術加療に対する制限が増えてきているのです。特に社会保険(会社の健康保険)で顕著です。

 

ざっと挙げると、1)単純混濁に対するPPV、2)IOL度数交換入れ替え手術、3)多焦点IOLの摘出交換手術、4)多焦点IOL挿入との同時手術(緑内障手術、PPV)など、保険請求しても通りません。

 

健康保険で認められてなくても、その医療にかかわる部分を自費診療にすれば対応できます。この場合、診療から治療に至るまでのすべてを自費にしなければなりません(混合診療の禁止)。

 

こういった事情から、当院でもいろんな自費診療が増えてきました。詳しくはホームページをご参照ください。

 

これらの自費診療の多くは海外でも同じく自費の場合が多いです(例えばレーシックなど)。今後、新しい医療技術を導入する際、コストの点で保険収載が不可能なことも多くなってくるでしょう。また、医療によるベネフィットのうち、代替えのある方法、(たとえばメガネ、コンタクトの代わりのレーシックやメガネの代わりの多焦点レンズ)はエクストラコストが許容されるべきです。

 

世界標準の医療を万遍なく提供するためには、自費診療のシステムがどうしても必要になってきます。世界的にも、公的保険だけでは限界があるのが普通です。

 

ST