フランスの医療制度

フランスの医療は国民皆保険であり、国民はもちろんのこと、3ヶ月以上滞在が予定されている留学生も健康保険に入ります。ただし、これは自動車の自賠責のようなもので、医療費の一部をカバーするに過ぎません。日本の皆保険では医療費の7〜10割が給付されるのに対し、3割ほどです。

 

フランスで最終的に7〜10割の給付を得ようとすると、皆保険以外に任意保険に加入する必要があります。入るも入らないも国民の自由です。大企業では十分な給付を伴う任意保険を低価格で提供しています。

 

これらの健康保険が適用されるには、病気になった時、日本のように医療機関を自由に選ぶことができません(フリーアクセスの制限)。必ずまずあらかじめ決めておいたかかりつけ医を受診し、必要に応じて専門医に紹介してもらいます。

 

これは医療のトリアージを徹底するためです。医療機関が無意味に混雑することを避け、保険財政を守ります。また、受診のたびに、最低1ユーロの自己負担があります。

 

ただし、保険を使わない権利は患者にも医師にもあります。好きな医師にかかりたい、すぐに手術してほしい、未承認の薬を使ってほしいなど、自由診療になります。医師も1)保険診療に徹する家庭医、2)保険診療自由診療を共に受ける専門医、3)自由診療専門の医師、に分類されます。

 

給付率は疾病によって異なり、生死に関わる重病は10割になります。眼科は7割、柔整は6割です。眼科では、メガネやコンタクトの購入費用も保険給付が付いています。

 

アクセスが制限される代わりに、給付内容は充実しています。

 

「100%の医療を全員公平に」という理想を追求しているのが日本の皆保険ですが、今後、財政的に困難になった時、最も参考になるのがフランスの医療制度ではと考えられています。

  

ST

 

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