オクトパス900

年末のお休みを利用して、器械を入れ替えたり点検していただいたりします。今年は念願の視野計を入れ替えました。

視野では静的と動的があり、主に使用するのは前者です。患者さんに中央の一点を見ていただき、中心からはずれた色んな部分で指標を照らし、見える輝度を測定します。

オクトパス(ハーグストライト社)は1970年代にこの方式を確立した、いわば先駆者ですが、なぜか、日本では他社の視野計(H)が標準となっていましたので、Hを開業以来愛用しておりました。

ところが、OCTが普及するようになると、OCTで緑内障の所見があるにもかかわらずHでは正常に出る症例が多いことに気づきました。どの程度の輝度でどの部分を照らすかというアルゴリズムが、パソコンの性能が劣悪だった1970年代頃に決められましたので、測定時間や患者さんの疲労との折り合いから、やや感度の低いものになったのはやむを得ないことでしょう。OSはDosV、記録はフロッピーでしたから。

新しいオクトパスだと同じような測定時間でより精確に測定でき、OCT所見とほぼ一致します。また、表示方法もいくつもあり、診察場で適切な表示を選ぶこともできます。さらに、何度か経過観察することにより、視野の損失率、その予想も測定できます。

Hにも同じような改良が加えられつつありますが、過去のデータの遺産が多い分、新しい動きが遅れた感は否めません。

緑内障では視野が大きく進行する前に治療を行わなければ、手遅れになってしまいます。したがって、ちょっとした変化を見逃さない視野測定が大切です。感度の良いオクトパス900は大きな武器になりそうです。

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