ショパンの作品番号

ピアノの詩人として愛されるショパンは1810年にポーランドで生まれました。幼少期はポーランドで過ごし、教育も受けましたが、19才から独立し、音楽の都ウィーンを経てパリに定住しました。もともと、ロンドン行きの旅券での旅行だったようですが、ロンドンにたどり着いたのは晩年、死の直前でした。

モーツァルトもベートーベンも故郷を離れて活躍している点は共通です。ショパンが結果として長い旅に出たことになったのは、当時の政治情勢も関係しています。1830年、故郷のポーランドで革命が勃発し(ワルシャワ蜂起)、帰るに帰れなくなったからです。1830年以降、故郷を喪失した後から、次々と不朽の名作が生まれました。

とはいえ、ポーランド時代にも名曲はたくさんあります。たとえば2曲あるピアノ協奏曲などです。

現存する最初の作品は7才時のポロネーズとされています。ポロネーズ全曲の楽譜では、11番と12番です。では、ポロネーズの1番はといえば、1834年頃に作曲されています。マズルカでもワルツでもそうですが、全曲楽譜の最初のほうにあるのは、作品番号のついた、生前に出版された作品で、大体は1830年以降の作品になっています。

このあたりがベートーベン、モーツァルトなどとの違いで、ショパンの場合、全曲楽譜が作曲年代順とはなっていないのです。これはちょっと困ります。

試しにワルツを作曲順に並べますと、16(17才時)ー14ー19ー9−13−15(19才時)ときてやっと1番の作品18に到達します。1番は21歳時、パリ時代初期の作品です。

作品番号から漏れた名作が多数ある上、ややこしいのは、ショパンの死(1849年)後、友人のフォンタナが遺作として若年〜壮年時代の作品の一部を出版し、作品番号を振ったことです。

作品番号がショパン生前とフォンタナの追加の二種に別れ、後者は作曲年代順になっていません。ショパン自身が作品番号をつけて世に送り出した作品群は特別に優れているのはもちろんですが、それ以外でも幻想即興曲のように名曲が多数あります。

シューベルトも同じような事情がありましたが、ドイチェ番号によりほぼ解消されました。モーツァルトは年代順のケッフェル番号により、作品番号がなくなってしまいました。ショパンも同じような作曲年代順の番号を振り、年代順に同種の曲を並べたらどんなにか楽しいことでしょう。

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