モーツァルトのピアノ協奏曲は比較的多く、番号では27番まであります。ベートーベンが5曲、ブラームスが2曲などとは時代が違うので比べられないとしても、同時代のハイドンが1曲しかないのと比べるとその多さが際立ちます。
その理由は、モーツァルト自身が名ピアニストだったので、自分の演奏会のために作曲したからです。当時、貴族社会の末期で、まだまだ自分で売り込みをかける必要があったからです。
ほんの14才若いだけのベートーベンが楽譜を売って商売できたことを思うと、時代の流れを実感できます。
27番まであるとはいえ、1〜4番は習作で、7番は3台のため、10番は2台のためですので、独奏用のピアノコンチェルトは全21曲ということになります。
これらは全て名作揃いで、有名な20番台以外でも一つとして駄作はありません。モーツァルトとしても円熟期に作曲が集中しているからでもあります。全てのバイオリンコンチェルト(5曲)の後に6番のピアノコンチェルトが来ます。
モーツァルトはのちの作曲家のコンチェルトに比べ演奏も容易であり、全曲楽譜を揃えて、その時々の気分により好きな曲を弾くのがとても楽しみです。ピアノ弾きの特権。
原典版楽譜はツァハリス校訂のペータース版、新モーツァルト全集のベーレンライター、シフ校訂のヘンレ(一部の曲のみ)などあります。
シフ版はオーケストラ部分が弾きやすい、運指がついてる、カデンツがついてる、モーツァルトが演奏家の自由に任せた部分の提案があるなど、もっとも使いやすい楽譜です。
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