IOLの完全嚢内固定

フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術では、角膜切開、乱視矯正切開、前嚢切開、核分割をレーザーで行います。自分の手で楽にこなせる手技をわざわざレーザーで時間をかけて行わなくとも、とも思うのですが、レーザーにちょっと敵いそうにないのが、前嚢切開の位置、形、大きさを一定に出来ることです。

ということで、マニュアル切開でも出来るだけフェムトレーザーに負けないように注意しています。

特にCCCの大きさ、位置が大切で、IOLの固定に大きく影響いたします。理想は4.5mmくらいの大きさで、IOLの光学部の端が全周きっちりと覆われることです。

しかし、CCCが小さすぎるとあとで嚢収縮により更に小さくなり、視力に影響する場合もあります。

当院で使用している一体型アクリルレンズでは、嚢収縮は比較的少ないので、どちらかというと小さめのCCCを心がける方がよい結果が得られます。

今日、外来で見かけた患者さんは、多焦点IOLリストアが挿入されており、術後4年たった今でも遠方および近方の裸眼視力1.0が保たれていました。散瞳してよく観察すると、やはり、IOLの端が前嚢に覆われている完全嚢内固定で、それだからこそ、屈折の安定が保たれたのかと実感いたしました。

リストアの完全嚢内固定(術直後)

同上、術後4年

CCCが大きすぎ、光学部がoutになっている
屈折矯正白内障手術では×

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