弧状ブレード

学校の休みが近づいてきたからか、巷には親子連れの姿が目立つようになってきました。ボーナスも出て、バーゲンが始まっています。

毎年夏休み期間は、白内障を中心としてご高齢の患者さんの受診が少なくなります。お孫さんやご家族との団らんの時期であることや、受診の付き添いが不十分になることなど、原因として考えられます。また、中には、「夏の間は目に汗が入って危険なことはないですか?」と勝手に思い込んでおられる方もいらっしゃいます。

白内障手術による感染が夏季に多発するということは、ありません。1年を通じても1例あるかないか、当院では幸いなことに、ここ数年は経験していません。

手術のあと、目に汗が入ったとしても、傷はすでにふさがっておりますので安全です。最近は傷の大きさも2.4mm以下と小さくなっており、当院で使用している「弧状ブレード」による傷の自己閉鎖が優れているからです。

同じ2.4mm幅でも、平面ブレードだと時に自己閉鎖させるのに苦労することがあります。これは、IOLを挿入する際、傷口を多少挫滅させてしまうことがあるからです。創は小さければ小さいほど安全というわけではありません。小さい傷に無理してIOLをねじ込むと、自己閉鎖しにくくなるのです。

こんな場合、傷の周囲に浮腫を作ることにより、閉鎖させることができますが、浮腫はすぐに引いてしまいますので、傷が再び開く危険があります。

弧状ブレードでは、浮腫を作ることなく、眼圧を上げることなく閉鎖させることができます。理想的な自己閉鎖が可能です。

この方法は名古屋のI先生が考案されました。眼科における日本発の数多いオリジナルの中でも、特に優れたものと思います。

2.5mm幅の弧状ブレードを用いています(平面の2.4mm相当)。テクニス、IQ、ニデック等、一体型アクリルレンズはすべて、この創から挿入可能です。ただし、テクニスはややきついので、少々コツが必要ですが・・・。

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