黄斑牽引症候群 〜運命の分かれ道〜第二回

先週木曜の続きです。
前回は、加齢に伴って硝子体が縮み(≒後部硝子体剥離)、網膜の中でも特に大事な黄斑部を引っ張ってしまう現象(≒黄斑牽引症候群)について説明し、写真では予後が良かった幸運な症例を提示しました。
今回は、硝子体と網膜の癒着が強いために運悪く病気になってしまった症例です。
まずは1例目のOCT写真です。

視力低下とゆがみ(変視症)を訴えて受診されました。次が一ヵ月後の写真です。

黄斑部が牽引されすぎたために、少し断裂してしまいました。しかし、このレベルであれば視力障害は軽度で1.0を保っていました。
2例目の次の写真は、さらに癒着が強い場合です。

黄斑部が痛々しいくらい硝子体に引っ張り上げられているのがよく分かります。次が1ヵ月後の写真です。

完全に黄斑部に穴が開いてしまい、視力が著しく低下しました。これが黄斑円孔で、早期に手術しないと視力が回復しなくなります。

このように、黄斑牽引症候群の病状や経過は人それぞれです。好発年齢は50〜60才台ですが、近視の強い方などでは早期に発症することもあります。
ゆがんで見えたり、視力低下・飛蚊症などを自覚した場合は、早めに眼科にご相談ください。
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