術後のcapsular block syndrome

人の目は十人十色です。
当院でも年間二千眼ほども白内障手術をさせていただいておりますと、やはり珍しい合併症に遭遇することもあります。
最近は、術後のcapsular block syndrome(CBS)を経験しました。
通常であれば、白内障手術で人工レンズを水晶体の袋(嚢)の中に挿入すると、術後にはレンズが嚢に隙間なくピタリと包まれて安定します。
ところが、CBSではレンズが嚢の前面のみに張り付いてしまい、嚢内にどんどんと水が溜まって前方にレンズが押されてしまう状態になります。
眼内には水(房水)が循環していますので、この流れが偶然にうまくいかなかったときにCBSが起こるようです。
今回の症例は、チン小帯(水晶体の支えの部分)がとても弱っていたので、房水の循環が正常と異なったために生じたと考えました。
CBSでは、平均して3D程度近視化します。
治療は、YAGレーザーで嚢を切開することによりたいてい正常の状態に戻ります。
Ft