手術の補助剤

本日は白内障手術とルセンティス硝子体注射を行いました。
白内障は進行しすぎると真っ白になり膨らんできます(成熟白内障)。
このような場合には、前嚢切開(水晶体の袋の前側を円く開ける)時に、まるで膨らんだ風船がパンと裂けるのと同じように、あっという間に前嚢が裂けて後ろにまで裂け目が回ってしまうことがあります。
したがって、私が研修医だった10年前にはかなり難しい症例でした。
しかしながら、近年は手術補助剤である粘弾性物質の進化のおかげで、成熟白内障でもずいぶん手術しやすくなりました。
滞留能が高い粘弾性物質は、膨らんで裂けそうな前嚢をしっかり押さえてくれるので、安全に前嚢切開を行うことができます。
また、同時に角膜内皮を保護する効果も高いので、術中の超音波により角膜内皮が傷んでしまうリスクも減らすことができます。
ただし眼内に残存しやすいので、最後はきっちり吸引除去することが大事です。
本日もこの粘弾性物質の恩恵にあずかりました。良い時代です。
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