一体型アクリルレンズ

今日はお昼から白内障手術が20件行われました。白内障手術は時間は長くかかりませんが、一瞬のミスも許されない操作の連続ですので、とても神経を消耗いたします。

切開、CCC、水流分離、核分割、超音波吸引、皮質吸引、IOL挿入のすべてのステップに、危険が待ち受けています。

IOLの挿入操作は簡単なようですが、ここで破嚢してしまうことも珍しいことではありません。しかし、最近流行の「一体型アクリルレンズ」は、安全性という意味ではとてもすぐれています。

シリコンレンズや従来型の3ピースアクリルに比べ、IOL自体が柔らかく、変形自在なので、小切開からカートリッジで挿入する方法にとてもよくフィットするのです。

ということで人気の一体型アクリルは現在、数社から販売されており、それぞれ少しずつ性質が異なります。

今日からメインの一つとして使用を開始した、アボット社のテクニスレンズは、入れやすさ、固定の良さでは合格点を与えられると思います。ただ、後方のループはインジェクターにより挿入しにくいので、嚢内に入れるのはI/Aチップで行うほうが効率的です。

最近のIOLはほとんどが非球面レンズとなっており、センタリングがとても重要です。ちょっとした中心位置のズレが、視機能の低下や不快光視現象を引き起こすことがありますので、この点もとても気になってくるのですが、テクニスはなんとなくしっかり固定されている安心感があります。

さらに光学部のエッジに工夫がこらされており、また、屈折率が低いので表面反射が少ないというのも特長です。

着色でないというのが、唯一の気になる点でしょうか。


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