充血するほうが良く効く!?

緑内障の目薬は何種類もありますが、現在のところ、最も眼圧がよく下がるのはプロスタグランディン関連薬といわれる種類です。
副作用としては、充血、目の周囲や虹彩(茶目)の色素沈着、まつげが伸びるなどが代表的です。 (ちなみに、まつげが伸びる作用は、美容外科などでまつげ用育毛剤として利用されたりするくらいなので、必ずしも副作用とは言えないかもしれませんね。)
最も困ることが多い副作用は「充血」です。個人差がありますが、「一日中ずっと充血して困る!」とおっしゃる患者さんもおられます。
この困った充血に関して、きわめて個人的な印象ですが、「充血が強い患者さんの方が眼圧が下がっているかも..」と以前から感じていました。
本当に漠然とそう思っただけなので、それについてわざわざ調べようと思ったことはなかったのですが、なんとこれを実証した報告を見かけたのでびっくりしました。
「眼圧下降は結膜充血の程度と強く相関」(小林博先生、J glaucoma 2011; 20(1):3-6 )
先月のOcular surgery newsでも大きく取り上げられています。眼圧下降と結膜充血の関連はまだ解明されていないものの、どちらも同じ受容体を介しているからかも知れないとのことです。
緑内障患者さんの中でも、特にこの点眼が必要な状態なのに、結膜充血が強いので自己中断してしまう場合があります。こんな時に、がんばって点眼を続けていただくように説明するには、この報告がとても役立ちそうです。
目の付け所が素晴らしい論文ですね。
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