前眼部OCTの使用法

昨日はひさしぶりに網膜剥離に対するバックリング手術を行いました。最近は剥離も硝子体手術が多くなっていますので、バックル単独手術は当院としてはめずらしいです。

若年の扁平な網膜剥離では硝子体も水晶体もしっかりと残っていますので、硝子体をかじったりガスを入れるよりは眼球の外からの操作だけですませるほうが合理的です。白内障もなるべくなら起こさない方がよいですから。

昔は術後の安静ということがやかましく言われましたが、適切なバックル位置と排液により裂孔閉鎖を確実に行えば、日帰り手術でも問題はなく、一晩の就寝にて完全に復位することが多いです。

ただ、術後の患部の腫れ、痛みはやや強いですので、痛み止め対策が必要になってきます。

前眼部OCT(AOCT)検査は使ってみるととても汎用性が高いことがわかります。屈折手術(LASIKおよびICL)、白内障手術の術前検査、緑内障(前房の断面像、隅角検査)などなど。

このうち、AOCTならではと思われる使用法に限り、先進医療としての代金(当院では3000円に申請済み)を頂戴することにいたしました。箇条書きにしますと、

1)LASIK術後のフラップや角膜変性症、混濁の精査
2)屈折矯正手術の適応検査の一部
3)白内障手術前に隅角閉塞の診断が必要な症例
4)白内障手術時、トーリックIOLを使用する際の位置決めのため
5)緑内障濾過手術のブレブの確認

などになります。

このうち4)はほとんど誰もやっておられないでしょうが、一度これに慣れると、他の方法がばからしくなります(じゃまくさい上に不正確)。ただ、縮瞳状態で顕微鏡下での虹彩認識、マーキングとなりますので、白内障手術当日に行えないことが唯一の難点でしょうか。


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