粘弾性物質

白内障手術の際に用いる粘弾性物質として、いろいろな種類のものが発売されています。大きく分けて、凝集型と分散型に別れることは以前書きました。粘弾性物質として最初に登場したのがヒーロンです。鶏冠(とさか)から直接に分離され、凝集能が強く、前房形成能が優れています。

ヒーロン以後、「より内皮保護作用が強い」ということでいろいろな製品が出て来ました。ということは、ヒーロンの特徴であるところの凝集能に代わり、分散能が注目されてきたということですが、ほとんど分散しないヒーロンは、ひとかたまりとなって流出しやすいという特徴があります。

手術終了前に粘弾性物質を洗い出す操作は、感染予防の点でも大切とされていますし、少しでも残ると眼圧が上がるという合併症を生じます。したがって、ヒーロンは、最も洗い出しやすい粘弾性物質である点がメリットとなります。

粘弾性物質が内皮保護に重点を置かれていればいるほど、洗い出しをより徹底して行う必要があります。

手術をなるべく短時間で済ますにはヒーロンが良いですし、ゆっくりと内皮保護を考えてということであれば、ディスコビスクなどが適しています。粘弾性物質も、特徴を良くわきまえて、使い分けをしていかなければなりません。


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