フェムトの行方は?

今週はアメリカでASCRSという学会が行われています。15年前くらいまで、毎年のように参加しておりましたが、最近は行くことはありません。でも、学会の様子は毎日のようにe-mailで送られてきます。もちろん、すべての演題ではありませんが、皆が興味を持ちそうな部分は居ながらにして知ることが出来ます。

最近の大きな話題として、フェムトセカンドレーザーの白内障手術への応用があります。白内障手術における前嚢切開(CCC)および核分割をレーザーで代用するとの試みです。

もちろん、角膜切開もレーザーでできますが、こちらはそれほどの話題ではありません。それだけ、CCCと核分割は「むつかしい」手技と思われているのでしょう。このレーザーが普及すれば、誰でも今よりは簡単に白内障手術が行えるようになることでしょう。

ただし、多くの眼科医が懸念していることがあります。それはレーザーを使用するにはコストがかかるということです。今まで手作業で行っている部分をレーザーに代用させることは、手術全体のコストを大きく引き上げることになるでしょう。

また、小瞳孔、チン氏帯断裂、過熟などでは、レーザーが使えない可能性があります。ということは、従来から難症例とされている例のほとんどが対応できないということになり、では、何のための技術革新かという疑問が出てくるのです。

誰でも簡単に出来る症例しか扱えないような技術であれば、メリットは少ないと思います。このレーザーを開発するためには莫大なコストがかかっているものと思われますが、回収可能な状態になるには、まだまだ遠い道のりが残っている気がいたします。


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