網膜剥離手術

昨日、本日とお昼から白内障手術が合計41件行われました。今日から師走ですが、年末まで休むことなく手術が入っています。29日から一週間のお休みをいただく予定です。

このところ立て続けに網膜剥離の手術を行っています。この2週間で3例行いました。

私が眼科の研修を始めた頃といえば今から30年以上も前の話になりますが、網膜剥離で硝子体手術を行うことはありませんでした。バックリング+クライオが定番でした。その前はクライオの代わりにジアテルミーが行われていました。

裂孔不明例に対しては、あやしいところに広くクライオをあて、輪状締結をして排液というパターンでしたが、PVRが多発いたしました。そういえば当時はPVR(Proliferative Vitreoretinopathy)という言葉はなく、MVR(Massive Vitreous Retraction)と言ってましたっけ。MVRがMVP(Massive Vitreal Proliferation)になり、更にPVRと呼ばれるようになりました。

最近では網膜剥離に対して、最初から硝子体手術で臨むことも多くなりました。偽水晶体眼の場合はほぼ必ずといっても過言ではありません。

このところ続いたRDのうち2例は、術前に裂孔を探すことが出来ませんでした。しかし、いずれも、手術中に簡単に探し出すことができました。硝子体手術に広角観察装置とシャンデリアを併用すれば、まず、裂孔が見つからないことはありません。

周辺部の硝子体を出来るだけ切除し、クライオを最小限に用いれば、PVRの発生もほとんど見られません。空気置換で術中に完全復位しますので、そのまま日帰りで家に帰っていただいても全く問題ありません。

どちらかといえば、有水晶体眼のほうが気を遣います。なるべくガスを入れないようにと考えると、強膜側から十分な排液が望ましいわけですが、これがなかなか難しいからです。

裂孔が大きくとも、また後極側にあっても対処可能なのも硝子体手術の強みです。30年前からは想像も出来ない進歩だと思います。


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