網膜剥離

先週から今週にかけて網膜剥離の手術が続きました。気候の変化、寒暖の差により硝子体が収縮し、剥離の原因となる網膜裂孔が出来やすくなります。網膜剥離は大抵飛蚊症、視野の変化(黒い影が見える)で気づきますが、剥離が黄斑に達すると視力が低下するのでびっくりして受診される患者さんも多いです。

 

剥離したまま放置すると視力がさらに低下するのみならず、増殖変化を伴って手術しても治りにくくなります。なるべくなら、剥離が黄斑に達するまでに手術に持ってゆけたら理想です。

 

このような、硝子体剥離に伴う周辺部網膜裂孔(retinal tear=破れ)による網膜剥離は、硝子体手術の良い適応になります。

 

裂孔の原因となっている硝子体を可能な限り取り除き、網膜下液を吸いながら空気を注入することにより網膜を強制的に復位させます。裂孔の周囲をレーザー光凝固し、空気を20%SF6不揮発性ガスに置き換えて手術は終了です。

 

不揮発性ガスで硝子体腔を充満すると2週間くらいで吸収されます。その間に裂孔周囲の凝固が創傷治癒し色素上皮と癒着することにより、裂孔閉鎖が完成され、網膜剥離は治癒いたします。

 

創傷治癒には1週間から10日間必要ですので、この間は網膜を内側からガスで押さえておく必要があります。裂孔が上に位置する場合、ガスが減って半分以下になっても大丈夫ですが、下にあれば、ガスがなくなることによりタンポナーデ効果がなくなり、再剥離する危険が出てきます。

 

裂孔が下の場合、術後の姿勢が大切です。また、術後数日でガスを再注入することもあります。

 

一度の硝子体手術で治癒する確率は80%くらいと報告されています。再手術が必要となった場合、バックルの追加あるいは、ガスの代わりにシリコンオイルを使うなどの方法があります。

 

ST