ピギーバック

昨日はお昼から白内障手術を20件行いました。テクニスマルチおよびリストアを各一件に用いました。

また、珍しく、IOLのピギーバック二次移植がありました。ピギーバック(piggyback)とは、おんぶにだっこのおんぶということで、眼内レンズの場合、同じ眼に二枚目のIOLを入れることです。

遠視が強すぎて、通常のIOL一枚では度数が足らないときにも行いますが、すでにIOL移植術が行われている眼に対する屈折矯正の意味で入れることもあります。昨日はそのような症例でした。

IOLの移植術後、屈折の値が患者さんの思いと異なることはしばしばです。IOLの度数は0.5D刻みであり、度数決定の検査にも誤差がありますので、必ずしも狙い通りに行くとは限りません。

白内障手術後の屈折異常を追加手術で矯正することは可能です。方法として、ひとつはLASIKです。これは角膜にレーザーをあてる方法で、近視(乱視)の矯正方法としてはすでに安全性、有効性が確立されております。しかし、遠視の矯正につきましては、LASIKとて限界があります。

したがいまして、IOL術後遠視の矯正は、ピギーバック法がファーストチョイスと言ってもよいでしょう。

今のところ、乱視矯正はIOLには入っておりませんが、切開方法を工夫したり、LRIを追加することにより乱視の対策も可能です。ピギーバック専用のIOLはアドオンレンズと呼ばれ、トーリックアドオンも開発途上にあります。

昨日の例ではS+2.75D, C-1.75DがS-0.5D, C-0.25Dに改善いたしました。白内障手術を受けられる前は近視だった方ですので、この結果は多分ご満足いただけるものと思います。


ST