IOL交換

ごくたまに、一度挿入されたIOLを摘出して、新しいものと交換することがあります。理由はいろいろあり、最も切実なのはIOLの混濁による視力低下ですが、これは最近はほとんどありません。

最近多いのは、屈折ズレの改善を目的とした交換手術です。

IOLの摘出が可能なのは、術後一定の期間のみです。1〜2週間以内なら問題なくとも、1ヶ月以上も経ってしまうと、安全に摘出するのが難しくなることがあります。

先週、多焦点IOLの度数交換手術を行いましたが、術後半年以上経過していました。

IOLの光学部が完全に前嚢で覆われておれば、術後1年でも摘出が可能です。前嚢とIOLの隙間から粘弾性物質を注入し、嚢を膨らませてIOLを安全に摘出し、新しいIOLを嚢内に再移植します。

ところが、最初の手術でCCCが大きく、前嚢と後嚢が直接接触する部分があると、術後数ヶ月で完全に接着してしまいますので、たとえIOLを取り出せたとしても、嚢を傷つけてしまいます。新しいIOLは嚢外固定か縫い付けということにならざるを得ません。

摘出交換が不可能でも、新たにもう一枚のIOLを加えることは可能です(ピギーバッグ法)。また、LASIKで度数調整することもできます。白内障手術後の度数ズレはほとんどの場合治療可能ですので、ご安心ください。


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