ヨハン・セバスチャン・バッハ

今日はFt先生がお休みです。本来ならば昼からLASIKの日ですが、それもお休みでした。

ということで、今日は小生が連投いたします。

私にとってピアノを弾くのが無上の楽しみです。弾く曲はクラシックばかりで、いろんな作曲家のいろんなスコアをとにかくたくさん弾いています。

まあ、プロの目から見れば、不完全な演奏に違いありません。自分の演奏を録音して聴くと、あまりのひどさに辟易してしまいます。やっぱりプロはすごいです。

子供のころは古典の曲から入ります。青春時代以降、ロマン派(シューマンショパン)に惹かれました。ところが、老年期を迎えるに及んで、「やっぱりバッハ」ということになってしまいました。

だいたい、バッハのポリフォニー(カノンやフーガなど、旋律が2声以上の多層的な音楽)は鍵盤楽器で弾くのがとてもむつかしいので、子供の頃は理解不能でした。また、暗譜がとても難しいので演奏会向きとは言えません。

プロの演奏家でも、バッハの平均律などを演奏する際、楽譜を見ながらが多いです。さもないと、途中で判らなくなり、曲の終りにたどり着けないことすら予期されるからです。

ところが、演奏家の中には、複雑なポリフォニーをたちどころに理解し、暗譜で弾いてのける人もいます。グールドやリフシッツなどがそうです。多分、バッハその人もそうだったのでしょう。でなければ、あれほど複雑な曲をあれだけたくさん作ることはとても不可能です。

聖徳太子は、豊聡耳(とよとみみ)といって、10名の人に同時に話しかけられた事をそれぞれ瞬時に理解したといいます。言ってみれば、バッハやグールドも豊聡耳ということで、とても常人のなしえる技ではありません。

バッハの鍵盤作品でも、実用性を重視したもの、たとえばパルティータやイギリス組曲などは主に2声の進行でとどめており、弾きやすいのですが、中には実用性を全く無視して作られた作品もあります。

フーガの技法音楽の捧げものがそうですし、ゴールドベルグ変奏曲もどちらかといえばその部類ですかね。これらの曲は演奏が大変難しく、それだけに、完璧な演奏の素晴らしさは譬えようもありません。

有名なところはもちろんグレン・グールドの「ゴールドベルグ変奏曲」です。

最近気に入っているのは、コンスタンチン・リフシッツという演奏家の「音楽の捧げもの」です。鍵盤楽器用のカノンやリチュルカーレのみならず、3名の奏者を要するトリオソナタも独りで弾いています。すごいわざです。

しかしながら、3声以上の多声部を理想的なイントネーションで演奏するのは、やはり独奏鍵盤楽器には無理があります。多声部の合唱曲を聴くと、違いが歴然といたします。

最高傑作は「マタイ受難曲」というのが定説ですが、この曲はとても暗く、普段聴く気がいたしませんし、福音史家のレシタティーボがややうっとおしい感があります。モーツァルトやベートーベンのオペラのセリフ部分と同様です。

その点「ミサ曲ロ短調」はレシタティーボがありませんので聞きやすく、数多いバッハの宗教曲の中でも最高傑作のひとつではないでしょうか。ベートーベンの「ミサソレムニス」と比べてもこちらにより惹かれます。演奏はガーディナー指揮、ブリュッヘン指揮などが優れています。ガーディナーによるDGG録音を集めたセット(CD22枚分)はとてもお得で、お薦めです。

この曲を聴くと、生きる勇気が与えられますし、生きててよかったとも思います。また、何度繰り返して聴いても決して飽きません。


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