今日は白内障手術の日でした。
先日、日刊ゲンダイ紙が取材に来たと書きましたが、それに基づく記事が先週の水曜に出ました。
中高年の目の病気ということで、緑内障、白内障など思いつくままにお話ししましたが、やはり注目は多焦点IOLだったようです。「記事を見て来た」という患者さんは多焦点IOLに関心を持たれた方が多かったです。
その中のお一人に、20代後半の若い方がおられました。白内障手術、それも多焦点IOL移植の適応ではないかとの相談でした。診察しますと、左眼に軽い白内障を認め、矯正視力は右(1.0)左(0.7)でした。白内障の程度の割には視力が不良で、両眼とも−10D程度の強度の近視でした。
この方の左眼に対して白内障手術をするとすれば、術後の視機能をよく考えなければなりません。単焦点IOLで両眼の屈折を揃えるのが旧来の考え方ですが、術後、遠・近両用のメガネ、あるいはモノビジョンメガネが必要となり、QOLは悪化します。
左眼に多焦点IOLを挿入し、右眼にLASIKをして両眼とも正視にもってくると、単焦点で高度近視を残すよりははるかに良好なQOLを得ることができ、日常でほぼメガネ、コンタクトが不要になります。
しかし、多焦点IOLが矯正(0.7)の若い水晶体を質的に上回るかどうかは疑問も残ります。矯正(0.3)ならば躊躇することもありませんが・・・。
ということで、今回、白内障手術はちょっと様子を見てからということにいたしました。
この方の場合、眼内レンズ手術は矯正視力がもっと落ちてきた場合の将来の課題としておいて、今はLASIKにより両眼とも近視だけを治すという選択もあります。
もし私自身が患者の立場だったら、一番最後の方法を選択するでしょう。
ST