生体材料

先週、アクアマテリアルという新しい生体材料のニュースを見ました。(今月21日付の英科学誌ネイチャーに発表)

生体材料とは、医療で生体に移植・接触することを目的とした素材です。必要な条件は生体適合性が高いこと、つまり、拒絶反応を起こしたりせずに生体によくなじむことであり、また、材質が変性したりせずに長期にわたって安定していることも大切です。
眼科領域ではコンタクトレンズや、白内障手術で用いる眼内レンズが代表的で、これらをなくしては眼科医療は成り立たないくらいに重要な地位を占めています。
今回発表された素材は、眼科(〜形成外科)領域では、まぶた(眼瞼)の欠損の手術や義眼台などに使えるかも知れません。眼瞼欠損を補うために、耳の軟骨を取ってきてまぶたに埋め込んだりする場合がありますが、もしもアクアマテリアルのような生体材料が実用化されて軟骨の代わりに使えるようになれば、患者さんに余計な負担を強いる必要がなくなりますので、大きな福音となります。
それほどこの手の手術に携わっていない私(F.T.)でさえもいろいろ応用したくなるくらいなので、実際にこの分野に携わっておられる方はあらゆる応用方法を考えておられることでしょう。他にも、あわよくば調節力をもつ未来の眼内レンズになったりしないかな、などと夢を膨らませてしまい、こんな医療関連のニュースがあるたびに、ついつい期待してしまいます。
ただし、たまに生体材料の失敗例(マイラゲルなど)もありますので、生体適合性をしっかり確認してから実用化することはなによりも重要です。
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