ポリーニ:ピアノ界の巨匠

2日前、名ピアニスト、マウリツィオ ポリーニが亡くなりました。82歳でした。子供の頃からピアノを習っていた関係上、プロのピアニストの演奏会にはよく通いました。ルービンシュタイン、ケンプ、アラウ、ミケランジェリクライバーン、リヒテルなどとは異なり、「若手」のピアニストとして接してきたのが、アシュケナージアルゲリッチ、シフ、ポリーニなどでした。「あんた、いくつやねん」との声が聞こえてきそうですが。もちろん、これらのピアニストは全て実演を聴いています。

 

ポリーニは1960年に開催されたショパンコンクールで優勝したのち、演奏活動をせずに研鑽を続け、1970年ごろに再デビューして話題になりました。ショパンエチュードストラヴィンスキーペトルーシュカで音盤デビューし、超絶無比のピアノ技巧でたちまちトップアーティストになりました。ちなみに1955年のショパンコンクール2位がアシュケナージ、3位がフーツオン、1964年1位がアルゲリッチです。

 

1974年、日本に初めて登場した時は、毎日ホール(今はない)で開かれた演奏会に行きました。ところがその時演奏された曲が思い出せません。朝日のフェスティバルホールではなく、狭い毎日ホールだったのは、ポリーニもまだ駆け出しピアニストだったからかもしれません。

 

ポリーニの演奏の特徴はなんと言ってもその音でしょう。細かい音でも弾き崩しがありません。昔のコルトールービンシュタインショパンが草書体ならば、ポリーニは楷書体です。作品を解剖するかのような演奏は、時には息苦しい感がしたことは否めません。ショパン自身、即興を旨としたとの記述がありますので、ポリーニショパン的ではないと思います。

 

ポリーニの本領が発揮されるのは、ショパンよりもベートーヴェンシューマンドビュッシー、そして現代音楽でしょう。

 

CDのカタログを見ると、80歳近くになってからベートーヴェンの最後のソナタ5曲を再録音しています。名(難)曲として知られる29番「ハンマークラヴィア」が最後にどのように演奏されたか、とても興味がありますね。

 

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