曲目解説

院内最大のイベントクリスマス会で、今年はピアノ演奏を披露します。ピアノを練習していると、時々人にも聴いてもらいたくなるのです。院長の役得です。。

 

そのクリスマス会が12月初めにありますので、もうすぐです。人前で弾くからには、念入りに練習しなければなりません。9月ごろに大体の曲目を決め、毎日のように弾いてきました。

 

今回は、5月に行ったパリ旅行に引っ掛けて、当地の写真を見ながら関連する音楽を弾くといういう趣向です。選んだ曲は3曲、ナポレオン関連でショパンの「英雄ポロネーズ作品53」、モネと奥さんの仲良しぶりを表現してエルガーの「愛の挨拶」そして、ショパンが生涯の最後に住んだアパートの近く(ホテル リッツ)で宿泊したことを記念して、ショパンの「舟歌作品60」です。

 

英雄ポロネーズは16曲あるポロネーズ中の最高傑作です。ショパン(1810〜1849)32歳の頃、最円熟期の作品です。ショパンポーランドの生まれですが、1831年にパリに到着し、生涯をここで過ごしました。旅行中にロシアからの独立を求めたポーランド蜂起があり、祖国へ帰れなくなったからです。

 

ポロネーズポーランドの舞曲で、3拍子ですが、タ〜ッタタタッタッタッタッというリズムで、一拍目が強調されてやや長くなります。このリズムがポイントです。しかしさすがショパン、一拍目で大抵左手に大きな跳躍があり、「自然と」このリズムになるように作曲されています。ここのところのショパンの意図を逃さず演奏するのが大切です。

 

中間部では印象的な左手オクターブ下降進行があります。右手は勇壮なメロディーを奏でており、ショパンはこの部分を「速く弾きすぎないように」との注意を残しています。

 

愛の挨拶はエルガー(1857〜1934)の若い頃の作品で、ピアノの生徒だった8歳年上の奥さんとの婚約の際に作曲されました。もともとピアノ曲ですが、いろいろな楽器による演奏に編曲され、また、現代では着メロとして愛好されています。

 

ショパンパトロンでパートナーのジョルジュ サンド(女流作家)と26歳で出会い(1836年)、蜜月の後、1847年に別れました。舟歌は1845年夏、サンドとの仲が怪しくなった頃の作品ですので、楽しかった思い出が綿々と綴られることになっています。出版された作品中、最後期に当たります。

 

12分の6拍子で、小船に乗ってゆらゆら、スイスイ動いたり、水しぶきを浴びたりと情景描写的表現が出てきます。ショパンにとって唯一の舟歌ですが、のちに、フォーレルービンシュタインなど、舟歌の傑作が次々と世に出る、お手本になった曲です。

 

ショパンの作品は楽譜通りに弾くと人を感動させる効果が出るように作曲されています。しかし、きっちり弾くことがなかなか難しいのです。どんなことになりますやら。

 

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