短期滞在手術1加算の大きな変更

2年に一度保険点数が改定され、体制や戦略の変更を余儀なくされます。それも正式に発表になるのは3月中旬であり、4月1日からの変更に間にあわせるには、深い洞察力と勘が必要です。毎度のことですので慣れてはいるのですが。

 

今回はコロナ後初めての改定であり、感染対策を促すような加点がありました。当院でも当然のごとく行なっているマスク、清拭、ゴーグル、カーテン、換気、空気清浄器、余裕のある人員配置など、それなりにコストがかかります。それは今まではある程度補助金でまかなわれたのですが、補助金がなくなるとなると保険点数での埋め合わせが必要です。

 

しかし、よくよく文面を読んでみると、加点を取るためには患者さんの動線を分けるなど、本格的な感染症専門施設でないと不可能なことが要求されています。普段感染症とは縁のない眼科でそこまでする必要はありませんので、この加点は諦めることにいたしました。

 

一方、日帰り手術への誘導政策である「短期滞在手術1」加算は、今回、大きく変更されました。最も大きな変更は、この加算を取るために必要であった麻酔科医の立会いが不要になったことです。

 

10年ほど前から始まったこの加算は、眼科では白内障手術に限り認められ、その条件として麻酔科医の立会いが求められていました。ただ、点眼麻酔という、全身状態にほとんど影響しない安全な麻酔で行う白内障手術に麻酔科医の立会いを求めるのは、いささか慎重になりすぎの感がありました。

 

今回、この縛りがなくなった上、白内障手術以外に、眼瞼手術、PTK、翼状片、緑内障手術の一部などでも加算が取れるようになりました。今まで麻酔科医を確保できなかったため請求していなかった施設での請求が増えることと思われます。当院は従来から請求を行なっておりましたが、対象疾患が広がったことにより、年間100件以上の加算増が見込まれます。

 

ただ、過去に長年お世話になった麻酔の先生には、今後も週に1回程度は来ていただき、全身管理が必要な患者さんの処置をお願いすることにいたしました。今後とも、従来と同じように安心して手術を受けていただくことができます。

 

ST