緑内障

3月の世界緑内障週間にホームページの色を緑に染めて以来、緑内障の患者さんが増えてきたような気がいたします。あの期間中、マスコミを通じて学会により注意喚起が行われたせいでしょうか。

それにしても、相変わらず、「手遅れ」に近い状態で来院される方があとを絶ちません。視力が正常でも、視神経の90%以上が障害されることもあり、自分では正常と思っていても進行してしまっていることも多いのです。

視力だけではなく、視野検査、OCTによる眼底検査が必要です。特にOCTは、短時間、無侵襲の検査ですので、50代以上になったら気軽に定期的に検査を受けるのが望ましいと思います。

治療は眼圧を下げることで、その方法は点眼薬、レーザー、および手術です。点眼薬は多種多様開発されており、1〜3種類を使用します。ただし、点眼薬は毎日自分でさす努力が必要で、往々にしてさせていなかったり、自己判断でやめてしまうこともあります。また、副作用で角膜障害をきたすこともあります。

レーザーは20年前くらいに導入されたヤグレーザーによる選択的凝固(SLT)が標準的です。2〜30%の眼圧下降、点眼薬にして1剤分の下降効果が期待できますが、全員に効くというわけではありませんし、一度のレーザーのみで治療が完結することはありません。当院でも設置しております。

手術も多種多様で、大きくは「流出路再建術(ロトミー)」と「濾過手術(レクトミー)」に大別されます。

最近は白内障手術と同時に行うロトミー(ゴニオロトミー)が定着してきました。これにもいくつかの方法があります。当院ではiStent、谷戸式ロトミー、カフークヂュアルブレードが行われています。

ロトミーの効果もレーザーと同等か+α程度で、手術を行っても定期的経過観察は欠かせませんし、術後も点眼薬を併用するのが普通です。

一方、レクトミーは一発で劇的に眼圧を下げることが出来る、切り札的な手術方法です。ただ、術後濾過胞が残ることや、癒着による効果の減弱、感染の危険性など、ロトミーにも増して経過観察が重要となります。

緑内障と診断されたら、これらの治療法を根気強く続けて、自分の目を守る強い意志を持っていただきたいと思います。

ST