網膜剥離の硝子体手術

今週から10月に入りました。季節の変わり目で調子をくずされる方が多いからか、これから12月初旬まで、忙しい日が続きそうです。

昨日は網膜剥離の手術を2件行いました。うち一例はいわゆる黄斑円孔網膜剥離で、高度近視の後極に限定した網膜剥離でした。1980年代、大学に帰って網膜剥離外来を担当していた頃、mhrrdを硝子体手術で治すという考えはありませんでした。名古屋の安藤文隆先生がご考案された黄斑プロンベというバックルを使うのが好きで、よくトライしたことを思い出します。学会でも何度も発表したりしていました。

その後、同じ名古屋の三宅養三先生が「ガス注入法」をAJOに発表され、海外ではGonvers(だったか)が硝子体手術の有用性を発表し、手術方法はより容易な硝子体手術が一般化していったのです。

ここ10年ほどは硝子体の可視化がブームで、そうすることにより、硝子体の薄い膜が網膜の前に張り付いていることが分かりました。mhrrdでは網膜前の硝子体を可能な限り除去するのがコツとされています。

もう一例は中年の男性に発症したやや深部の多発裂孔による網膜剥離でした。孔の数は小さいものも含めますと7個で、約一象限に及んでおりました。これもバックル手術の時代ならば難症例ということになるのですが、硝子体手術だといとも簡単に裂孔閉鎖と網膜復位が可能です。水晶体摘出を併用することなく、短時間で手術を終了することができました。

経結膜無縫合手術、シャンデリア照明、ワイドビューイングシステムなど、周辺機器の進歩のおかげです。


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