phacovitrectomy

少し前から海外の学術誌等で「phacovitrectomy」という言葉を見かけるようになりました。「超音波で硝子体を砕く?」とか思ってよく読むと、なんのことは無い、硝子体手術と超音波白内障手術の同時施行のことのようです。それだったら、日本では20年以上前から当たり前のことでした。

なんでも、アメリカでは白内障手術と網膜硝子体手術は専門が違うので、それぞれ別の術者が担当するのが普通でした。硝子体手術が必要な患者さんで、白内障により手術が困難な場合、前もって白内障手術を専門家に依頼しておくか、どうしても硝子体手術の担当者が行なう場合、Pars plana lentectomyという別の方法で行なっていたとか。後者の場合、眼内レンズはあとから二時挿入するということでした。アメリカでは患者さんも大変です。

ところが、最近では白内障手術および硝子体手術の方法が共に進歩し、硝子体専門医でも白内障手術を安全に行なえるし、逆に、白内障手術専門医でも簡単な混濁除去程度の硝子体手術は行なえるとか、今更のように議論されています。「白内障術者のための硝子体手術入門」とかのコースもあります。

ひるがえって日本では、硝子体手術ができる術者が白内障手術をできない(やらない)ことは考えにくいです。なんでもアメリカが進んでいると思ったら大間違いです。

硝子体手術と超音波白内障手術を同時に行なうことは、患者さんの利便、医療費の節約の他、手術成績を向上させることにもつながることがあります。

網膜剥離の硝子体手術で水晶体を温存すると硝子体もまた残りますので、再剥離の危険が増します。逆に、すべて偽水晶体にした上で網膜剥離の硝子体手術を行なうと、バックルを置かなくても良い成績を挙げることができると報告されています。

今週はこんなphacovitrectomyを3例行ないました。

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